オフロード用車椅子「ランディーズ」の使用感について
まず乗車の感想から。
今回、2日間で合計10時間ランディーズに乗っていたお母さんから聞いたところ、
お尻が痛くなったことは無いようです。
タイヤが柔らかくて、岩場を越していても大きく揺れず、
フレームも衝撃を吸収するようで、全体的にふわふわした乗り心地だということです。
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また、シートの面積が意外に広く、お尻とシートの接触面積が大きいことから、
擦れたりすることも、ほとんど感じられなかったということです。
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フットレストが上下することも、足を水平に保つことができ、
長時間の乗車がずいぶん楽だったということです。
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良い点
ブレーキの効きが大変素晴らしいです。
急な下り坂でも安心してブレーキを緩めながら徐々に進むことができました。
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フレームの剛性も十分です。
ゴツゴツした岩が多い道もガンガン押して進むことができました。
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前輪の大きなバルーンタイヤの走破性が素晴らしく、
5cm以下の段差を軽々と越えることができました。
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RC(リアキャスター)は小回りが非常に楽で、
左右が崖の危険な狭い道でも安心して操作できました。
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最低車高が高いです。
バルーンタイヤのお陰もあって、
フレームの最低部分が地上高20cm程度あります。
(フットレストは可動式なので除く)
かなり大きく見える岩や切り株もタイヤの間に跨いで通ることができました。
岩を避ける操作がずいぶん楽になりました。
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タイヤは意外に丈夫でした。
バルーンタイヤの耐久性を心配していましたが、
ゴツゴツした岩場や折れた枝に乗り上げることがあっても、
タイヤがパンクすることはありませんでした。
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改良できるかもしれない点
・直進性が悪いです。
今回使ったランディーズRCでは、後輪が暴れることがあり、
慣れるまではフラフラとした運転になりました。
自動車のようにキャスタトレールによる直進性とキャスタ角度による直進性を考えて
アライメント整備することでなんとかならないのでしょうか?
しかし車椅子の個体差があると思うので、一概には言えません。
それに、ブレーキでの挙動制御を覚えれば、十分安定した操作が可能になりました。
・押す人の手をおく、レバー&ブレーキ部分の高さが、調節できません。
現在の高さは、身長180cmの私にはちょうど良いのですが、
身長160cmの女性には少し高いと思いました。
レバーの高さを調節できれば、さらに素晴らしいと思ったのですが、
レバー周りの剛性も操作感に大切だと感じましたので、
両立の難しい問題だと思います。
しかし、レバーの高さがちょうど良いと、寄りかかるような形で押すことができ、
歩行器のような役割になって、押す人間の足の負担も大きく減るのです。
上り坂を押す時もレバーの高さで寄りかかる角度などの体勢が変わります。
これらは上高地において、かなり重要な要素となりますので、
やはりレバーの高さは重要です。
・ブレーキを効かせるにはそこそこ強い握力が必要です。
握力が弱い方でもブレーキが強く効くようにできれば、
さらに安全性が高まると思いました。
坂道で特に安心な機能です。
・荷物を積む方法が欲しかったです。
私はレバーに重いリュックをひっかけて運んでいましたが、
10kg程度の増加では、車椅子を押すことの負担がほとんど増えませんでした。
(上り坂ではさすがに少し重くなったと感じましたが)
上高地では装備もそれなりに重いです。お土産も重いです。
操作に邪魔にならない範囲で、レバー周辺などに
荷物をひっかける場所やカゴなどを検討しても良いかと思います。
些細な利便性ですが、同行者の疲労を軽減できるので、大きかったです。
・万が一のために、後部に換えタイヤを積む
もしくはパンク応急修理用の道具を積むのはどうでしょう?
いくらなんでも考え過ぎでしょうか。
上高地では尖った枝やゴツゴツした岩場を乗り越えて突き進むことがあります。
今回は大丈夫でしたが、タイヤがすり減るとどこまで耐えられるか分かりませんので、
心配はつきまといます。
総評
量産型で、分解や折り畳みなどで配送ができることを考えると、
完璧といえる素晴らしい作りこみでした。
これを世の中に出してくださったメーカー(株式会社エムズウイング)の
職人様方に大きな敬意と共に感謝を申し上げたいと思います。
本当にありがとうございました。